戦車不要論について

http://d.hatena.ne.jp/REV/20070325/p3

戦車を中核とする機甲部隊の役割は、戦線を突破して敵軍を包囲殲滅したり後方拠点を制圧することにあります。
対戦車戦闘とはこの過程で発生するイレギュラーな出来事に過ぎず、可能ならば敵戦車なんぞは航空機攻撃や砲撃その他もろもろあらゆる手段を用いて行動の自由を奪い味方戦車に近づけないようにしとくべき存在なのです。
むろん物事は必ずしも都合よくいくとは限らず、それゆえに戦車は対戦車も考慮はされ作られてはいますが、だからと言って戦車と戦うことが戦車の主目的ではありません。


戦車を破壊することしかできない対戦車ミサイルなどの対戦車火器には戦車に代わり機甲突破を行うことはできません。
戦車よりも効率よく戦線を突破する何かが生まれるか、戦場のありようを変えてしまう何かが生まれるまでは、戦車の地位は揺るぎません。

由緒正しい五摂家筆頭の公爵家当主にして内閣総理大臣も勤めたマルクス・ボーイなロリコン

近衛秀麿―日本のオーケストラをつくった男

近衛秀麿―日本のオーケストラをつくった男

この本による近衛文麿と千代子夫人の馴れ初めは、近衛公が16歳のときに通学途中の汽車の中で千代子夫人に一目ぼれしたのがきっかけだそうな。
ちなみに千代子夫人はこのとき10歳……この年齢がアリな時代だったのかなぁ*1


お兄ちゃんの話はともかく、本の主役は弟の秀麿。
楽家というのは知ってたけど具体的にどんなことをした人かまったく知らなかったので、そうかN響の育ての親なんだと素直に感心。
この時期に欧米でも活躍してるとこを見るとそれなりに才能はあった人なんだろうけど、彼が大成できたのは彼自身の才能だけではなく近衛家の影響も無視できないだろう。
近衛秀麿自身だけではなく、NHK交響楽団の前進に当たる新交響楽団が実質的に近衛家の私財で運営されていたとこをみると近衛家が日本の交響楽へ与えた影響は大きそうだ。
あと影響と言えばロシア革命の影響も改めて知った*2


それにしても、弟の直麿が雅楽奏者で、秀麿の息子二人は作曲家、孫はバスーン奏者と近衛家というのは楽才に恵まれた一家ですな。
近衛文麿も聞いただけの曲をピアノやヴァイオリンで演奏できたとか。
なんていうかこの人、政治家じゃなくて音楽家になったほうが、ましな人生送れたんじゃないだろうか?と思ってしまう一冊でした。

*1:年齢はともかく、あいてが子爵令嬢とはいえ近衛家の当主が恋愛結婚とは以外だった。これも近衛文麿の革新性の表れなのかもしれない。

*2:亡命してきた白系ロシア人の影響は音楽だけにとどまらず、食事や衣服など大衆文化の西洋化に大きく関係している。これがアメリカだと文化面だけじゃなく理工系の人材も流入してるんだが、この違いは何だろうね。

たまには読書日記。

中立国の戦い―スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標 (光人社NF文庫)

中立国の戦い―スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標 (光人社NF文庫)

弱小国の戦い―欧州の自由を求める被占領国の戦争 (光人社NF文庫)

弱小国の戦い―欧州の自由を求める被占領国の戦争 (光人社NF文庫)

非武装中立なんてのは画餅もいいところで、そんなもので国が守れるなら誰も苦労はしないけど、だからと言って武装中立なら戦争に巻き込まれずに平和に暮らしていけるかと言うと……なんて言うか運しだい?
スイスは中立を貫き通し、低地諸国は中立を踏みにじられ、フィンランドは雄雄しく戦い独立を守り抜き、ユーゴやギリシャは内憂により自滅した。
戦乱の時代に大国の狭間で生き残りをかけて戦った小国たちの歴史が語るのは。
天の時、地の利、人の和。
どれか一つでも欠ければ乱戦の時代に小国が生き残ることは無理という厳しい物語。
日本が自分で運命を決められる程度には国力のある国で良かったとつくづく思う。

不思議なことはない。

太平洋戦争が、よく言われるように無謀な(=勝ち目のない)戦争であったかどうかを調べてみようと思っています。 無謀であったかどうかは「勝った!」と見なすラインをどこに引くかによって変わってきます。 例えば日露戦争は戦線を注意深く限定し、早くから講和の算段をしていたので、ロシアという大国相手であっても「無謀な戦争」にはなりませんでした。 そこで質問です。 太平洋戦争の開戦にあたって、日本の戦争指導部は「何が、どのような状態になったら勝利」と考えていたのでしょうか。 例:「米本土に陸軍が上陸して、アメリカ全土を占領したら勝利」 例えば開戦直前、昭和天皇に「絶対に勝てるか」と問われた杉山参謀総長が、絶対とは言えないが見込みはありますと回答したそうですが、このとき杉山参謀総長は(あるいは昭和天皇は)勝利ということを「何がどうなること」とイメージしていたのかが知りたいのです。 できれば、何々を読めば書いてあるよ、という情報が欲しい。 よろしくお願いします。


今の感覚では理解しにくいが、日本にとって中国との戦争は局地戦争でしかない。
確かに日中戦争には膨大な戦費を投入してはいるが、アメリカがベトナム戦争に膨大な戦費を投入すると同時にソ連に備えるためにそれ以上の予算を投入していたのと同じように、日本は中国との戦争に直接関係の無い海軍にもアメリカに備えるため膨大な予算を投入していた。
そして当時のアメリカは大国であっても超大国ではなかった、特にその軍事力はそれなりに強力ではあるものの現在のように突出したものではなく、1941年の時点で限って言えば日本の戦力で何とかなりそうと思えてしまうほどに限定されたものでしか無かった。
一方、同盟国のドイツは今にも欧州を席巻しそうなほどに強大無比な存在と思われていた。


現在の私たちは、アメリカという国がわずか3年と8ヵ月の間に作り上げた非常識としか表現しようの無い化け物じみた戦力を知っている。
だからアメリカとの戦争に踏み切った当時の人の考えが理解できずに異常なことと捉えてしまう。
だが当時の常識で考えてみれば、あの決断がそれほどおかしなものでないことは理解できる。


早期に決戦を強要しアメリカが当座に用意できる戦力を根こそぎ殲滅することで継戦意欲を喪失させる。その上でドイツの勝利によって国際的に孤立したアメリカに講和を持ちかける。
当時の人が思い描いていた戦争の結末は日露戦争をはじめとして歴史上によくある戦争の風景でしかない。

麻布第一連隊はソ連の軍艦を撃沈したこともあるすごい部隊なんだぞ

東北・九州の兵は強いが、東京の兵は最弱だ。
都会出身の兵隊は、幼い頃からいいもの食って育ってるから体格が良くて体力もあり集団行動にも慣れてるから訓練が簡単。
田舎出身の兵隊は、食糧事情が悪い環境で育ってるから体格が貧相で体力も無くて集団行動にも慣れていないから訓練が大変ってばっちゃが言ってた

望んだ世界になるように適当にそれらしい話をでっち上げるのは簡単

日本がロシアとの戦争を避けていたとしたら、今の日本はどういう状況だと思われますか?
「あの時ロシアと戦わなければひどい事になっていた。だからあの戦争は正しかったんだ」って言って欲しいんだろうなぁ……

歴史上の女性をすごく魅力的に書いてない作品

歴史上の女性をすごく魅力的に書いている作品を教えてください! http://q.hatena.ne.jp/1157563912 こちらに参加させていただいて、急に思いつきました。 内容が史実に忠実かそうでないかは問いません。 ・ヒロイン自体は実在の人物(実在したであろうと推測されている、でも可) ・世界史/日本史問わず ・できれば小説で。漫画も多少読みますが、最近は遠のいているので絶対お薦め!と自信がある場合を除いては遠慮願います。 個人的に近年の代表的作品は、 佐藤賢一『傭兵ピエール』のジャンヌ・ダルク。 宮本昌孝『剣豪将軍義輝』の小侍従。 田中芳樹『奔流』の祝英台。など ちなみに『歴史をさわがせた女たち』や大河ドラマになった『功名が辻』は既読です。 面白そうだと私が感じた主観で配点させていただきますのでご了承ください。 (もし既読でしたら、多少減点してしまうかもしれません)


何か当てはまる物はないかと本棚を眺めて唯一見つけたのがこれ。

ジャングルの国のアリス

ジャングルの国のアリス

愛らしくも物怖じしない少女の視点から語られるアフリカ探検記……という体裁に仕立て上げた親バカ日記。
もうね筆者である母親の愛が嫌というほどたっぷりと詰まっていています。
ついでに当時の白人の傲慢さも嫌というほどたっぷりと詰まっていています。
でも今でもテレビとか見ると似たような感覚で作られてる番組とかあるのであんまり人のことも言えないかぁ。
それは兎も角、いくら架空戦記に出演しているからといって*1歴史上の人物というには抵抗があるし、何より小説じゃないからなぁ……止めとこう。


反対ならいいのを一つ知っている。

ハプスブルクの宝剣〈上〉 (文春文庫)

ハプスブルクの宝剣〈上〉 (文春文庫)

ハプスブルクの宝剣〈下〉 (文春文庫)

ハプスブルクの宝剣〈下〉 (文春文庫)

あのマリア・テレジアマリー・アントワネットのイメージで書いたすごい本。
もう見事なまでのバカ女に仕上がっていて魅力のかけらもありません。
でも言われてみれば確かにそういう気もあったようなと一瞬信じそうになった。
相変わらずひとみ先生はホラが上手いです。

*1:征途でCIAに復職してたり、大日本帝国欧州電撃戦史でドイツの秘密兵器を漁ってたりしています。