由緒正しい五摂家筆頭の公爵家当主にして内閣総理大臣も勤めたマルクス・ボーイなロリコン

近衛秀麿―日本のオーケストラをつくった男

近衛秀麿―日本のオーケストラをつくった男

この本による近衛文麿と千代子夫人の馴れ初めは、近衛公が16歳のときに通学途中の汽車の中で千代子夫人に一目ぼれしたのがきっかけだそうな。
ちなみに千代子夫人はこのとき10歳……この年齢がアリな時代だったのかなぁ*1


お兄ちゃんの話はともかく、本の主役は弟の秀麿。
楽家というのは知ってたけど具体的にどんなことをした人かまったく知らなかったので、そうかN響の育ての親なんだと素直に感心。
この時期に欧米でも活躍してるとこを見るとそれなりに才能はあった人なんだろうけど、彼が大成できたのは彼自身の才能だけではなく近衛家の影響も無視できないだろう。
近衛秀麿自身だけではなく、NHK交響楽団の前進に当たる新交響楽団が実質的に近衛家の私財で運営されていたとこをみると近衛家が日本の交響楽へ与えた影響は大きそうだ。
あと影響と言えばロシア革命の影響も改めて知った*2


それにしても、弟の直麿が雅楽奏者で、秀麿の息子二人は作曲家、孫はバスーン奏者と近衛家というのは楽才に恵まれた一家ですな。
近衛文麿も聞いただけの曲をピアノやヴァイオリンで演奏できたとか。
なんていうかこの人、政治家じゃなくて音楽家になったほうが、ましな人生送れたんじゃないだろうか?と思ってしまう一冊でした。

*1:年齢はともかく、あいてが子爵令嬢とはいえ近衛家の当主が恋愛結婚とは以外だった。これも近衛文麿の革新性の表れなのかもしれない。

*2:亡命してきた白系ロシア人の影響は音楽だけにとどまらず、食事や衣服など大衆文化の西洋化に大きく関係している。これがアメリカだと文化面だけじゃなく理工系の人材も流入してるんだが、この違いは何だろうね。