不思議なことはない。

太平洋戦争が、よく言われるように無謀な(=勝ち目のない)戦争であったかどうかを調べてみようと思っています。 無謀であったかどうかは「勝った!」と見なすラインをどこに引くかによって変わってきます。 例えば日露戦争は戦線を注意深く限定し、早くから講和の算段をしていたので、ロシアという大国相手であっても「無謀な戦争」にはなりませんでした。 そこで質問です。 太平洋戦争の開戦にあたって、日本の戦争指導部は「何が、どのような状態になったら勝利」と考えていたのでしょうか。 例:「米本土に陸軍が上陸して、アメリカ全土を占領したら勝利」 例えば開戦直前、昭和天皇に「絶対に勝てるか」と問われた杉山参謀総長が、絶対とは言えないが見込みはありますと回答したそうですが、このとき杉山参謀総長は(あるいは昭和天皇は)勝利ということを「何がどうなること」とイメージしていたのかが知りたいのです。 できれば、何々を読めば書いてあるよ、という情報が欲しい。 よろしくお願いします。


今の感覚では理解しにくいが、日本にとって中国との戦争は局地戦争でしかない。
確かに日中戦争には膨大な戦費を投入してはいるが、アメリカがベトナム戦争に膨大な戦費を投入すると同時にソ連に備えるためにそれ以上の予算を投入していたのと同じように、日本は中国との戦争に直接関係の無い海軍にもアメリカに備えるため膨大な予算を投入していた。
そして当時のアメリカは大国であっても超大国ではなかった、特にその軍事力はそれなりに強力ではあるものの現在のように突出したものではなく、1941年の時点で限って言えば日本の戦力で何とかなりそうと思えてしまうほどに限定されたものでしか無かった。
一方、同盟国のドイツは今にも欧州を席巻しそうなほどに強大無比な存在と思われていた。


現在の私たちは、アメリカという国がわずか3年と8ヵ月の間に作り上げた非常識としか表現しようの無い化け物じみた戦力を知っている。
だからアメリカとの戦争に踏み切った当時の人の考えが理解できずに異常なことと捉えてしまう。
だが当時の常識で考えてみれば、あの決断がそれほどおかしなものでないことは理解できる。


早期に決戦を強要しアメリカが当座に用意できる戦力を根こそぎ殲滅することで継戦意欲を喪失させる。その上でドイツの勝利によって国際的に孤立したアメリカに講和を持ちかける。
当時の人が思い描いていた戦争の結末は日露戦争をはじめとして歴史上によくある戦争の風景でしかない。