平成19年度概算要求

我が国の防衛と予算
防衛庁の来年度予算の概算要求が出ましたので気になる点を抜き出してみます。


以前から噂のあった装輪戦闘車の開発がついにはじまるようです。

機甲科部隊に装備し、多様な事態への対処において、空輸性、路上機動性等に優れた機動力をもって迅速に展開するとともに、中距離域での直接照準射撃により軽戦車を含む敵装甲戦闘車両等を撃破するために使用する機動戦闘車を開発する。

というのが開発コンセプトだそうです。
この手の車両は外見こそ戦車に似ていますが、火力はそこそこあるものの防御力や足回りは貧弱で戦車の代わりになるような代物では有りません。
保有量が3分の2に減らされることが決まっている戦車には戦車にしか出来ない仕事に専念してもらうために、戦車でなくても対応できる対ゲリラ戦や戦車が早急に展開しにくい島嶼部への緊急展開等を戦車の代わりに受け持つのが仕事のようです。


ただこの手の戦車モドキが本来の任務以上の、戦車の仕事である機甲突破や対戦車戦に投入され大損害をこうむったというのはよくある話です。
またこの機動戦闘車には反動や動揺を抑えるギミックを搭載、遠距離での精密射撃を可能とし限定的ながらも戦車と戦うことを要求されているといった、あまり芳しくない噂も流れており、現代によみがえった鉄の棺桶になるのではないかと不安がぬぐいきれません。
採用された後に本来の任務から逸脱した無理難題を押し付けられるような事態が起こらないことを祈ります。もっとも機動戦闘車なんかが運用される事態が起こらないのが一番ですが。

  • 海自

来年度より先の大綱で決定されていた新体制へ移行します。
地方隊は解隊され護衛艦は全て護衛艦隊の指揮下に、そして各護衛隊群は弾道ミサイル防衛のための新編成へ。
一群八隻体制は維持されるものの、群の中でDDG中心の弾道ミサイル防衛グループとDDH中心のヘリ運用重視グループの二つに分かれており、長らく護衛艦隊の基軸であった88艦隊体制はついに終わります。
弾道ミサイル防衛が実働されるのは喜ぶべきことなのですが、長年慣れ親しんだ編成が変わってしまうのは寂しいですね。


さて来年度予算では艦隊の盾として防空の要であったイージス艦弾道ミサイル防衛に専念させるために、新たに艦隊防空能力を持つ護衛艦が要求されています。
この船に関しては以前から情報があるていどリークされており今回はあまり目新ことは公表されず、レーダーシステムは国産のFCS-3改なのかそれともSPY-1Fなのか、艦対空ミサイルはスタンダードとESSMの混載なのかそれともESSMのみなのか相変わらずわかりません。
船体のほうは従来コスト重視型と呼ばれていたものに決まったようですが、848臆円もする代物をコスト重視と言われても納税者としては頭を抱えるばかりです。

  • 空自

19年度と20年度に分けて導入する予定だったF-2をコスト削減のために一括取得するそうです。
というわけでF-2も来年度で生産打ち切りです、好きな飛行機なので寂しいですね。
財務省も最後ぐらいは要求した10機すべて認めてくれないかなぁ。

  • その他1

研究施策の充実
戦史研究を推進するための施策を実施

やっぱり外交問題がらみでしょうか?
あんまり歴史を政治に使ってほしくないですね。プロパガンダに体よく利用されるようなことにならなければよいのですが……
まぁ史料閲覧室には日頃お世話になっていますし史料整理が進むならこちらにとってもありがたい話なので、ここは素直に喜んでおきます。
ついでに土日も閲覧できるようにしてくれるともっとうれしいんですが、まぁ無理でしょうね。


でも防衛研究所の人員も予算も増えてないということは、戦史部が充実する分、調査部や教育部が割を食うということか……冷遇されてる部署はつらいですね。

  • その他2

防衛庁は来年度より防衛省に昇格します。
防衛関係費の機関別内訳に防衛省って書いてある。やばい誤植だぁ(笑)




……誤植だよね?